仕覆(しふく)と御物袋(ごもつぶくろ)

私たち日本人は、物を包むのが好きですね。

デパートなどで買った商品を丁寧に包んでもらえるのは、世界の中でも珍しいことなのだそうです。

とはいっても、最近は「エコ」ということで、簡易包装が進んでいますが。

 

お茶の道具も、大切なものには専用の袋がついています。

いただいた茶椀を包んでいる袋が傷んでいるので、作り直そうかと思いました。

 

右の写真でいうと、ピンクは茶箱点前で使う茶杓の仕覆、手前の小さいのは同じく茶箱点前の棗の仕覆。

左の大きいのは茶碗が入っているのが御物袋で、

今回作り直そうかと思った袋です。

 

古い有名な茶入には、歴代の茶人がそれぞれ自分好みの仕覆を作って来ました。

例えば大名物・松屋肩衝(まつやかたつき)には

村田珠光が珠光緞子

千利休が利休間道

古田織部が織部緞子

小堀遠州が遠州緞子

と呼ばれる名物裂で仕覆を添わせてきました。

一つの茶入れで、着物が4枚もあることになります。

 

私の道具はもちろんそんな立派な物ではありませんが、先生に写真の御物袋の相談をすると、

「仕覆はお客様の目に留まることを想定した場合のものだけど、御物袋は収納専用なのよ」

と教えて下さいました。

つまり他人の目に触れる物ではないので、別の柔らかい布で包んでも良いし・・・、ということです。

「お茶事で茶碗荘のお点前をすることが決まってからでも遅くない」とアドバイスをいただきました。

他人の目に触れるまでは収納専用ですから、自分でこしらえても良いワケですね。