NHKの金曜日午後2時からの番組に「京コトはじめ」というのがあります。
興味のある内容だと録画しておいて時間のある時に見るのですが、
先日の放送が「京で着継がれる 和装のこころ」というタイトルだったので、興味を引かれて見ました。
番組には、京都で着物の教室を開いていらっしゃる着物研究家の毛利ゆき子さんが登場。
同じ着物が帯を変えることでカジュアルなシーンからあらたまった席にまで着られることや、
また同様に帯を変えることで若い方から親の世代まで着られることなど、
実際に着物の上に色々な帯を重ねて置きながら解説してくださいました。
これから着物について勉強したいという方が見ていらしたら、とてもよく理解できたのではないでしょうか。
番組の最後には、毛利さんが仕立て直したお母さまの着物を初めて身に纏うシーンが。
その着物は毛利さんのお母さまが好きでよく着ていらしたものですが、
譲られたものの地味な色合いで今まで着る機会が無かったとのこと。
やっとその着物が似合う年齢になり、仕立て直しをして着ることに。
番組の中で仕立て直したその着物に初めて袖を通し・・・
すると、毛利さんが言い表せないような表情になりました。
「やっと着られた・・・嬉しいです。着て・・・ちょっと言葉が出ませんね。
母がここに居てくれるみたい」
着物にはそんな不思議な力がありますね。
着物はきちんと手入れをして仕立て直しをすると生まれ変わり、次の代でも着ることが出来ます。生徒さんの中にも、おばあさまの帯・お母さまの着物・・・を着ていらっしゃる方も大勢いらっしゃいますよ。
左の写真は私の帯ですが、もともとは母の塩沢の着物でした。
とても好きな生地だったのですが、私のサイズに仕立て直すのがちょっと難しかったので、名古屋帯に仕立て替えて、私のお気に入りの帯になりました。
多くの方の「着物を習いたい」と思うスタートは、「着ること」かも知れません。
でも着物には、様々な染織技術から始まって、その意匠、仕立てること、手入れをすること、季節感を大切にするコーディネイトに至るまで、その中に日本人の心がいっぱい詰まっています。
着物を学ぶ機会があったら、受け継がれてきたそんな日本の心にも思いを馳せていただけたら・・・と思います。