牛首紬

BS日テレの「冨永愛の伝統 to 未来」という番組をご存じでしょうか?

先日この番組で「牛首紬」を取り上げました。

牛首紬は石川県の白山の麓、昔は牛首村と呼ばれたところで織られてきた紬です。

「釘に引っかけても逆にその釘を引き抜く」というその堅牢さから、

「釘抜き紬」とも呼ばれてきました。

 

牛首紬は玉繭から糸を取ります。

玉繭というのは一つの繭の中にカイコが二つ入ったもので、このために普通の繭より少し大きめ。

一般的に繭全体の2~3%がこの玉繭になるそうです。

通常繭からは一本の糸を引き出しますが、この玉繭はカイコが二匹入っているので、引き出される糸は二本。それが絡まったりするので、糸にしたときにその部分が「節」となります。

それを以前は不良品としましたが、いつの日かそれが特徴となり牛首紬の「味」となりました。

 

上が普通の繭で下が玉繭。
上が普通の繭で下が玉繭。

今回の番組は、この牛首紬で洋服を仕立てる「MIZEN」とのコラボのお話。

ファッションブランド「MIZEN」の代表取締約・寺西俊輔氏は、

「世界に誇る日本の技術を次世代のラグジュアリーへ」というコンセプトを込めて

洋服づくりをしています。

 

番組のお話の中で興味深いものがありました。

洋服はデザインが主役で、実際に手を動かす職人は黒子役。

けれど着物は形が決まっていてデザインは無いが、その価値は反物に集約された職人の染織技術。このすばらしい日本の技術を生かして洋服をデザインしたい。

節が特徴の牛首紬
節が特徴の牛首紬

番組で冨永さんが着ていらしたのは、藍色の鰹縞の牛首紬の反物を使って、

スラリとした冨永さんの雰囲気に合わせてデザイン・仕立てた洋服。

絹なので、着心地も良いとお話しされていました。

 

日本の職人の技術は、世界から絶対的な信頼を得ているのだそうです。

この技術を決して失うことが無いように・・・

これからの試みに期待したいと思いました。

 

 

さて、今年も残すところあと数日になりました。

年齢を重ね、無事に一年を締めくくれることを貴いと感じるようになりました。

お世話になった周りの皆さまに感謝しつつ、来年も良い一年であることを祈ります。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。